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EU TOKENISED SECURITIES MARKET MAP

EUトークン化証券
市場構造マップ

27か国に同じ規則が効く、期限付きの実験枠です。1つの認可が域内に広がる一方、2025年5月末までに認可されたインフラは3件でした。

最終検証 2026-09-27 次回重点確認 DLTパイロット制度の延長・恒久化の決定/新規認可インフラ
DLT PILOT REGIME / APPLIES FROM 2023/03/23AUTHORISED INFRA / 3 AS OF 2025/05/31AGGREGATE CAP / EUR 6 BILLIONESMA REVIEW / 2025/06/25SECURITIZE TSS / SPAIN / CNMVPERMANENT STATUS / NOT DECIDEDDLT PILOT REGIME / APPLIES FROM 2023/03/23AUTHORISED INFRA / 3 AS OF 2025/05/31AGGREGATE CAP / EUR 6 BILLIONESMA REVIEW / 2025/06/25SECURITIZE TSS / SPAIN / CNMVPERMANENT STATUS / NOT DECIDED

01 · STATUS

まず押さえる現在地

「承認済み」「ルールが有効」「本番稼働」は別です。ここを混ぜないのがこのサイトの基本ルールです。

有効

DLTパイロット制度 ― 時限の実験枠

規則(EU)2022/858。2022年6月2日に官報掲載、2023年3月23日から適用。既存の市場インフラ規制を一部免除し、DLTで取引・決済を試せるようにする枠組み。恒久法ではない。

開発中・承認前

使われていない ― 認可は3件だけ

ESMAの2025年6月25日の報告書は、2025年5月31日時点で認可されたDLT市場インフラが CSD Prague・21X AG・360X AG の3件のみで、実取引も minimal だと記している。制度があることと、使われていることは別。

開発中・承認前

何が詰まっているか ― 上限と中銀マネー

ESMAは、相互運用性の欠如と中央銀行マネーへのアクセスの無さを摩擦として挙げ、現行の上限が広い参加を妨げていると結論づけた。上限の再調整と、制度の長期的な位置づけの明確化を勧告している。

稼働 / 提供中

Securitize がEU初のTSS認可を取得

スペインのCNMVが、Securitize をDLTパイロット制度下の取引・決済システム(TSS)として認可したと報じられている。基盤にはAvalancheを選定。同社は米国とEUの双方で規制下のデジタル証券インフラを運営する形になる。

有効

1つの認可で域内に広がる

EUの単一市場では、ある加盟国で得た認可が他の加盟国へ広がる。Securitizeは2024年12月取得の投資会社ライセンスをドイツ・フランス・イタリア・ルクセンブルクへ拡張したと報じられている。国ごとに取り直す必要がない点が、米国の州・連邦の構造と異なる。

提案段階

2026年以降どうなるかは未確定

制度は当初3年で、1回だけ最大3年の延長が認められている。ESMAは延長・拡大・修正・恒久化のいずれかを欧州委員会に助言する立場で、報告書は長期的な位置づけの明確化を求めている。恒久化が決まったわけではない。

02 · OWNERSHIP

そのトークンは何を証明しているのか?

SECの2026年1月の整理を軸に、トークンの見た目ではなく法的構造と公式な所有記録で分類します。

◆

DLT金融商品(DLT financial instruments)

ひとことで言うと株式・債券・投資信託の持分といった既存のMiFID金融商品を、分散台帳で発行・記録したもの。新しい種類の権利を作るのではなく、既存の証券をDLTに載せる。

暗号資産規制(MiCA)の対象外。MiCAは金融商品に当たらない暗号資産を扱う規則で、証券に当たるトークンはMiFID等の証券規制側に入る。ここを混同すると話が合わなくなる。

権利権利の内容は従来の証券と同じ。変わるのは記録の持ち方。
公式記録分散台帳上の記録。中央証券預託機関の口座振替に代わる扱いが免除で認められる。
DLT金融商品
◈

載せられる規模には上限がある

ひとことで言うと規則3条は銘柄ごとの上限を定める。株式は発行者の時価総額5億ユーロ未満、債券等は発行規模10億ユーロ未満、投資信託の持分は運用資産の市場価値5億ユーロ未満。

インフラ全体でも上限がある。合計の市場価値が60億ユーロに達する取引は受け付けられない。90億ユーロに達したら移行戦略を発動する。ESMAはこの上限が広い参加を妨げていると結論づけ、再調整を勧告した。

権利上限を超える規模の証券は、この枠組みでは扱えない。
公式記録上限は取引開始時点/最初の記録時点で判定する。
規模上限
◇

個人が直接参加できる余地がある

ひとことで言うと規則は、監督当局の免除により、DLT多角的取引施設が自然人を会員・参加者として直接受け入れることを認めている。スイスのDLT取引施設が銀行中心であるのとは違う設計。

ただし免除は自動ではない。当局は自然人の保護のために追加措置を求めることができる。「できる」と「実際に個人が売買している」は別の話。

権利直接参加が認められても、投資者保護の規定は外れない。
公式記録免除の有無は加盟国の監督当局が個別に判断する。
個人の直接参加

03 · TRADING ROUTES

どこで取引・決済されるのか?

所有モデルと取引会場は別軸です。同じ「トークン化証券」でも経路によってルールと決済が変わります。

DLT金融商品のみを取引に受け入れる多角的取引施設。ドイツの360X AGが2025年4月29日から許可を得ている。

  • 取引の場であって、決済や最初の記録は行わない。
  • 当局の免除があれば自然人を会員として受け入れられる。

DLT金融商品の決済を行い、最初の記録も可能にするシステム。チェコのCSD Pragueが2024年10月11日から許可を得ている。既存の中央証券預託機関が枠組みに入った例。

  • 既存のCSDが取得できる区分でもある。
  • 中央銀行マネーでの決済は使えない。ESMAが摩擦として挙げた点。

取引と決済を同じ主体が行う区分。この枠組みでしか認められない形。ドイツの21X AGが2024年12月3日から許可を得ており、Securitizeもスペインで同区分の認可を得たと報じられている。

  • 従来は取引所と決済機関を分ける前提だったため、免除が必要になる。
  • Securitizeの認可は、米国とEUの双方で規制下のインフラを運営する形につながる。

04 · REALITY CHECK

トークン化すると、何が変わって何が変わらないのか

24時間取引・即時決済・自分のウォレットで保有・小口購入。よく語られるこの4つは、どのモデルでも同じように起きるわけではありません。

恒久法か、期限付きの実験か

従来 / 現在スイスは民法に「台帳型有価証券」という器を作った。期限が無い。
トークン化で可能になることEUは既存の証券規制に期限付きで免除を与えた。制度そのものに終わりがある。

重要な注意: だからEUでは「今できること」と「将来も続くこと」を分けて読む必要がある。

1つの認可が届く範囲

従来 / 現在米国では連邦の登録に加えて州ごとの対応が要る。
トークン化で可能になることEUでは加盟国の当局が出した認可が域内に広がる。

重要な注意: ただし認可は各国当局が出すため、審査の実務は国ごとに違う。

MiCAの話とは別

従来 / 現在MiCAは、金融商品に当たらない暗号資産の規則。
トークン化で可能になること証券に当たるトークンはMiFID等の証券規制側で、DLTパイロット制度はそちらの枠。

重要な注意: 同じ「規制ができた」でも、対象が違う。

05 · ECOSYSTEM

エコシステム企業マップ

規制当局の「承認企業一覧」ではありません。各社が公表・届出した役割を、出典つきで整理しています。

稼働 / 提供中

ESMA(欧州証券市場監督機構)

制度の運用状況を欧州委員会に報告し、延長・拡大・修正・恒久化について助言する立場。Q&Aも公表している。

稼働 / 提供中

CSD Prague

チェコの中央証券預託機関。2024年10月11日からDLT SSの許可を持つ。

稼働 / 提供中

21X AG

ドイツ。2024年12月3日からDLT TSSの許可を持つ。取引と決済を一体で行う区分。

稼働 / 提供中

360X AG

ドイツ。2025年4月29日からDLT MTFの許可を持つ。

稼働 / 提供中

Securitize

米国のデジタル証券基盤。スペインでEU初のDLT TSS認可を得たと報じられ、投資会社ライセンスを独・仏・伊・ルクセンブルクへ拡張した。米国版マップとつながる主体。

06 · LICENCES

どの登録・免許で動いているのか

登録・届出の効力発生・承認・免除は、どれも別の概念です。同じ「SEC が関わっている」でも意味が違います。

DLT MTF

DLT多角的取引施設

主な保有者MiFIDの投資会社または規制市場の運営者
何ができるかDLT金融商品のみを取引に受け入れる
どう取るか既存の認可に加えて、この制度の特別許可を各国当局から得る

注意免除があれば自然人を会員として受け入れられる。取引の場であり決済は行わない。

DLT SS

DLT決済システム

主な保有者CSDR の下で認可された中央証券預託機関
何ができるかDLT金融商品の決済と最初の記録
どう取るかCSDRの一部規定の免除を当局から受ける

注意中央銀行マネーでの決済は使えない。ESMAが摩擦として指摘した点。

DLT TSS

DLT取引・決済システム

主な保有者投資会社/規制市場の運営者、または中央証券預託機関
何ができるかDLT MTF と DLT SS の両方の業務を1つの主体で行う
どう取るか両方の区分に対応する免除と特別許可を得る

注意従来の規制では想定されていない組み合わせ。この制度に固有の区分。

06 · REGULATION

制度・ルールのタイムライン

法令、SEC命令、SROルール、No-Action Letter、スタッフ見解、企業構想を同じ強さで扱わないため、ステータスを分けています。

有効

規則(EU)2022/858 が官報掲載

DLT市場インフラのためのパイロット制度を定める規則。適用開始は2023年3月23日。

稼働 / 提供中

CSD Prague が最初の許可を取得

ESMA報告書によれば、CSD PragueはDLT SSの許可を2024年10月11日から保有している。

稼働 / 提供中

21X AG が DLT TSS の許可を取得

取引と決済を一体で行う区分の許可。ドイツの当局が出したもの。

稼働 / 提供中

360X AG が DLT MTF の許可を取得

これで認可インフラは3件になった。ESMAの報告対象期間の末は2025年5月31日。

有効

ESMA が制度の見直し報告書を公表

規則14条に基づく報告書。利用は限定的で実取引も少ないとしつつ、実験を促した効果は認め、上限の再調整と長期的な位置づけの明確化を勧告した。

提案段階

欧州委員会がトークン化の方向性を示す

欧州委員会が DLT とトークン化に関する見解を公表。方向性の提示であり、制度の恒久化が決まったものではない。

07 · SOURCES

一次情報ライブラリ

SEC・DTCC/DTC・NYSE/ICE・Nasdaqを最優先し、企業情報は企業公式として区別しています。

08 · METHODOLOGY

このサイトの読み方

最初に「何を持つか」を確認し、次に「どの取引ルートか」、最後に「公式ソースと現在の稼働状況」を確認してください。トークン化という技術ラベルだけでは、株主権・カウンターパーティーリスク・決済サイクルは判断できません。

1LEGAL HOLDING→2TRADING ROUTE→3AUTHORITATIVE SOURCE→4LIVE STATUS